DC-DCコンバータの自作……
ヒステリシス損について考える。
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以下のヒステリシス曲線を見てください。
「コイルの作り出す磁場(H[A/m])」と「磁性体中の磁束密度(B[T])」の関係をグラフ化した曲線です。
実際に測定する際は、
「コイルの作り出す磁場(H[A/m])」 は コイルに流れる電流、
「磁性体中の磁束密度(B[T])」 は 二次側のコイルに発生する起電力の積分に対応します。
この二つをオシロスコープを使い、XYモードで観測するとヒステリシス曲線が現れます。
(当然今回は一次コイルしかないコイルを使うのでヒステリシス曲線は観測できません。(もしかすると他に方法があるかもしれませんが、、、))
順に説明していきます。
原点O⇒①
1. 「コイルの作り出す磁場(H[A/m])」と「磁性体中の磁束密度(B[T])」は共にゼロで、
「磁性体に巻いたコイル」は原点Oにいます。
2. 「磁性体に巻いたコイル」に電流を流していくと、点線を通ってOから①へ移動します。
「コイルの作り出す磁場(H[A/m])」が強くなるに従って「磁性体中の磁束密度(B[T])」は
大きくなりますが、一定程度大きくなると頭打ちして「ある数値」に漸近していきます。
この数値の事は「飽和磁束密度」と言われています。
ところで、コイルは電気エネルギーを磁力に変える素子であるため、この「飽和磁束密度」
が大きいほどコイルに大きなエネルギーを蓄えられる事になります。
①⇒②
3. 今コイルに流しているのは交流電流(正弦波)である事を思い出してください。
このままコイルに流す電流を増やし続ければ「磁性体中の磁束密度(B[T])」は
「飽和磁束密度」にどこまでも漸近していきますが、交流電流(正弦波)なので、
段々と振幅が小さくなってきます。この時、①⇒②へ移動をはじめます。
4. コイルに流れる電流は段々と小さくなっていきますが、
「磁性体中の磁束密度(B[T])」は一向に小さくなりません。
ついには「コイルの作り出す磁場(H[A/m])」がゼロになっても磁束が残ったままになります。
これを「残留磁束密度Br」と言います。
②⇒③
5. 今コイルに流しているのは交流電流(正弦波)である事を思い出してください。
当然ですが、交流電流なのでプラス・マイナスが入れ替わります。
つまりコイルに流れる電流が逆向きになり、「コイルの作り出す磁場(H[A/m])」もマイナスの
値を取ります。つまり②⇒③へ移動をはじめます。
6. マイナス方向に「コイルの作り出す磁場(H[A/m])」が大きくなると
「磁性体中の磁束密度(B[T])」はようやく減少していきます。
この時「磁性体中の磁束密度(B[T])」がゼロになるとき磁場を「保持力」と言います。
③⇒④⇒⑤⇒⑥⇒①⇒②⇒③⇒④⇒⑤⇒……
ヒステリシス曲線は原点Oに対して点対称なグラフで、
後は同様に①~⑥をひたすらループします。これはヒステリシスループと呼ばれています。
ヒステリシスループを行う時、グラフの中心がヒステリシス曲線で囲まれる形になりますが、
一回ループする毎にこの囲まれた面積分のエネルギーが熱エネルギーとして消え去ります。これをヒステリシス損と言います。磁性体を磁化させたり、磁化を解いたり、逆向きに磁化させようとするために発生する損失です。
つまり、DC-DCコンバーターを自作する場合、この面積(ヒステリシス損)の小さいコイルを選ぶ事で効率の向上を図れます。
最後に、理想的なコイルはヒステリシス損がゼロ、即ち、ヒステリシス曲線に囲まれる面積がゼロで行きも帰りも同じ経路を通るコイルで、さらに、「コイルの作り出す磁場(H[A/m])」が増えるほど「磁性体中の磁束密度(B[T])」も増える(つまり飽和しない)コイルです。
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